人体の放熱のしくみ
室温は低くても温かい??
体感温度の不思議・・・
そもそも、人体は放熱体
体内で作られた熱を、外に逃がすことで体温調節をしているのです。
放熱が小さい=暑い |
放熱が適度=快適
|
放熱が大きい=寒い |
|
|
|
早く熱がとられると・・・ 寒く感じる
ゆっくり熱がとられると・・・ 暑く感じる
さらに、人体の放熱のしかたには、3つあります
熱伝導 30% |
気化 25% |
放射(輻射) 45% |
|
|
|
空気の温度が関係 |
空気の湿度が関係 |
周囲の固体の温度が関係 |
つまり、人は触れている空気と周りの壁・天井などの固体に熱を取らせながら体温を維持しています。
周りの固体が適度な温度(=基礎温度)を持っていれば、室温は必ずしも高くなくても寒くありません。
基礎温度22℃の環境では室温は20℃程度に落ち着きます。その環境では体感温度は21℃程度⇒(22℃+20℃)÷2ですから足元を含めて決して寒くありません。
しかも湿度は40%程度を維持することができます。湿度(=人体の免疫力)を考慮した場合、できるだけ低い温度で寒くない環境が望ましいのです。
間接輻射暖房での環境であれば、室温20℃でも寒くないのです!
* |
壁・天井を22℃程度に維持するのは容易ではありません。夜間に暖房を止めて冷やしてしまうと、
壁や天井、家具などの固体は関東や関西でも早朝は10℃未満の超低温になっています。
昼間に暖房を稼働しても固体の温度はなかなか上昇せず、15℃未満の低い温度のままです。
人体から15℃未満の固体に輻射熱でとられる熱量ははるかに大きくなり、この大きな熱ロスを補うために
空気温度を25℃など高めにしなければ体感として寒く感じてしまいます。
それでもエアコンなどでは空気温度の低い足元では寒さを感じてしまいます。
|
体感温度は
人体は3つの放熱があるため、体感温度は室温だけでは決まりません。
「暑い」「寒い」を感じる体感温度は空気の温度と湿度、そして周囲の固体温度によって変わります。
体感温度 = (室温 + 壁や天井などの固体温度)÷2
同じ室温20℃で比較してみると・・・
間接暖房【サーマ・スラブ】 |
直接暖房【エアコン】 |
|
|
室温20℃、固体温度22℃ |
室温20℃、固体温度12℃ |
体感温度は、(20+22)÷2 -> 21℃ |
体感温度は、(20+12)÷2 -> 16℃ |
※湿度が低いと気化による熱損失も増え、さらに体感温度は下がります。 |
つまり、同じ室温でも周りの固体温度(=基礎温度)によって「体感温度」が大きく違います。
適度な基礎温度と適度な室温のバランスこそが身体にやさしい、健康に配慮した暖房の条件であり、
「24時間の基礎温度の維持」という間接輻射暖房の真骨頂です。
輻射(熱放射)とは簡単に言えば、固体間の熱移動のことです。
2つの物体間で温度差があれば必ず温度の高い方から低い方へ熱移動します。
電磁波、遠赤外線、光などと表現されるこの現象は空気は透過して移動し、
相手側の物体に熱エネルギーとして吸収されます。
遠く離れた太陽から地球に熱が届くのも、この輻射の現象です。
太陽からの輻射を受けた地表面は温度が上がり、2次的に地球を覆う大気が地表から熱をもらって「気温」となります。
つまり地表面の温度が1次的な熱移動(輻射)、そして気温は2次的な熱移動(伝導)ということです。
「間接暖房」における「固体温度と室温の関係」もこのメカニズムが働いています。
また目に見えませんが、人間からも温度の低い家具や机、壁、天井などに対して輻射で熱が移動しています。
このメカニズムを利用して「間接暖房」では周囲の固体温度を操作することで、
「人体からの輻射」の量をコントロールしています。